どうも、能力バトル大好き人間のダルです。
今回感想と共に紹介するのは、2020年から週刊少年ジャンプで連載中のアンデッドアンラック(通称アンデラ)です。
連載開始すぐに「次にくるマンガ大賞2020」コミックス部門1位を受賞と評価が高く、現在(2021年12月時点)まだ連載から1年ほどしか経っていませんが、大注目の人気作品です。
個人的には呪術廻戦やチェンソーマンに続いて、アニメ化するのではないかと睨んでいます
現時点で最新9巻までなので、一気読みにもぴったり。以下のような方にアンデッドアンラックはおすすめなので、ぜひ最後までお付き合いください。みんなで神を倒す方法を考えましょう。
※重大なネタバレばかりが含まれた記事です
- 能力バトルが好き
- 伏線回収・考察が好き
- テンポの良い展開が好き
- アニメ化する前に知っておきたい
- Fateや型月作品が好き
アンデッドアンラックのあらすじと設定
アンデラは否定者と呼ばれる能力者が、大きな悲しみに捉われながらも、自分たちや世界をおもちゃにする神を打倒するため立ち上がるというのが大まかなストーリーです。
触れた人に不運をもたらす能力を持つ「出雲風子」は、大好きな漫画の連載が終わったのを機に、電車に投身自殺を図ります。
そこに現れたのが不死の能力を持つ死ねない男。風子は不死の男と共に謎の組織に狙われ、男を不死(アンデッド)の「アンディ」と名付けます。
風子とアンディは自分たちを狙った組織ユニオンへ逆に加入することで、自分の能力・世界について知り謎に巻き込まれていきます。
作者の戸塚慶文先生は高校時代から編集部に持ち込みしていたものの、なかなか連載にならず30歳を過ぎてついに勝ち取った初連載です。
下積みが長かったためか、初連載とは思えない緻密な設定とテンポの良いストーリー、新しいようで王道なジャンプらしいバトル漫画に仕上がっています。
面白さは折り紙付きで、コミックス9巻の帯にはFateシリーズや月姫、空の境界などで知られる「奈須きのこ」からコメントが寄せられました。
奈須きのこ氏は鬼滅の刃がアニメ化される前から帯にコメントを寄せていたジャンプ好き。アンデラもアニメ化して欲しいものです
初期こそ古臭い癖のある絵柄でしたが、徐々に画力も恐ろしほどアップしており、めちゃくちゃ見やすくかっこいい!画力・設定・テンポと三拍子揃った漫画です。
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設定1.否定者と能力
アンデラの作中には「否定者」と呼ばれる能力者が複数存在します。いずれも漢字で「不〇〇」英語で「UN〇〇」と表記される能力を有しています。
- 出雲風子:不運(UNLUCK)
- アンディ:不死(UNDEAD)
- シェン:不真実(UNTRUTH)
- ジュイス:不正義(UNJUSTICE)
- トップ:不停止(UNSTOPPABLE)
- タチアナ:不接触(UNTOUCHABLE)
- フィル:不感(UNFEEL)
- 一心:不壊(UNBREAKABLE)
- ビリー:不可信(UNBELIEVABLE)
- 重野力:不動(UNMOVE)
- 久能明:不明(UNKNOWN)
否定者の能力は神が定めた理(ルール)を否定する力で、自分もしくは他人のルールを否定できる力です。
例えば不運なら運を否定し災いを呼び寄せ、不死は死を否定するためずっと死ねない体になります。
能力ごとに「自己対象・他対象」か「任意・自動」かが異なるため、自分に対して発動しっぱなしの者もいれば、他人に任意のタイミングで発動できる者もいます。
出典:アンデッドアンラック 1巻1話より
アンデラはジャンプらしい能力者バトルですが、他の漫画と大きく毛色が違うのは与えられる能力がデメリットでしかなく、能力のせいで様々な不幸が能力者たちの身に降りかかっているということ。否定者たちは必要のない能力を神から与えられたことで、ほとんどが苦しんでいます。
例えば主人公である風子は「不運(UNRUCK)」の否定者。自分が触れた人に不運をもたらすため、極力肌の露出を避け引きこもって生きてきました。
風子がもたらす不運は、自身が触れた対象への好感度で被害が左右されます
初対面の人間であれば物が落ちてくる程度で済みますが、両親へ発動した際は乗員乗客270人を巻き込む大規模な墜落事件が発生しました。
出典:アンデッドアンラック 1巻1話より
このように否定者は特殊な能力を得るものの、家族や友達など大事な人を自分自身の能力で殺してしまうことが非常に多く、何らかの悲しみを背負っている人ばかりです。
否定者に自殺者が多いという設定があるのも、この影響か
否定能力の発現は後天的で、先代の否定能力者が死亡すると次の否定者に選ばれた人物へ移るのが基本です。
ただし先代が死亡してすぐに移るのではなく、任意のタイミングだと思われます
下記のようにあまりにも最悪のタイミングでしか発現しないため、偶然にしては出来過ぎています。それもそのはず、全て意図的に最悪なタイミングで否定能力が発現するよう「神」が操作しているからです。
- 誕生日のケーキのろうそくを吹き消すと同時に、両親を消し飛ばした「不接触」
- 止まろうとした瞬間に加速してしまい友達を殺した「不停止」
- 崖に捕まろうとする妹の行動を否定し落下死させた「不真実」
- 車道の真ん中で両親の動きを停めてしまい交通事故で両親を亡くした「不動」
他にも主人公の風子は両親が飛行機に乗る直前に「不運」の否定能力が発現。好感度が高いほど不運が起こる(=死に直結しやすい)ため、最悪のタイミングでした。
設定2.創造主(神)の存在と理
創造主(神)が決めた「理(ルール)」を基に世界が成り立っているというのが、アンデッドアンラックの根幹を成す設定です。
これは「性別」「言語」「人種」「死」などあらゆる概念が含まれており、裏を返せばそれ以前は上記の概念が無い世界でした。
出典:アンデッドアンラック 1巻9話より
神によって理(ルール)がどんどん増やされていき、今までに98回も追加されており、人間の苦しみが増えるようになっています。
ちなみに否定者とは神が定めた理(ルール)を否定する存在。例えばアンディの「不死(UNDEAD)」は、死を否定して生き続ける能力です。
否定者たちが集う組織「ユニオン」は神から提示されるクエストをこなすことで、ルールの追加を防いできました。
出典:アンデッドアンラック 2巻9話より
ただしクエストを成功したからといって、メリットがあるとは限りません。
作中ではクエストクリア報酬として「共通言語」が追加され、英語以外の全ての言語が消失。否定者だけが英語以外の言語があったことを覚えているという事態になり、日本人や中国人のキャラが困惑するエピソードがあります。
ユニオン以外の否定者たちは、言語改変に付いていけず目立つ存在になり、日常生活もままならなくなりました
アンデラ世界の神は人間を弄ぶことを楽しんでおり、最後のクエストのペナルティとして地球が粉々になることが明言されています。
また否定能力の多くは相手への好感度が左右するものが多いため、神は意図的に人間を苦しめている世界観です。
好きな人に触れると災いを起こす「不運」。好きな人の行動を真逆にする「不真実」など
実はクエストに何度か失敗して地球は何度も滅びており、滅亡の未来を回避するためループし続けていると明かされます。
今回が最後のループになるのか?次のループに突入するのか?というのも見どころです。
設定3.古代遺物とUMA
アンデラ世界には古代遺物と呼ばれるオーパーツと、UMAと呼ばれる未確認生命体が存在しています。これら超常的なアイテム・生物も世界観に深く関わってきます。
神を殺す手がかりとなる古代遺物
古代遺物(アーティファクト)は遺跡から発掘されるアイテムで、現代の技術では到底できないような現象を引き起こします。
例えば西遊記の如意棒のように、手の平サイズから大気圏外まで自由自在に伸び縮みできる如意金箍(にょいきんこ)や、脚に装備すれば空を駆けたり斬撃を飛ばしたりできる走刃脚(ブレードランナー)など、複数存在しています。
- 黙示録(アポカリプス):世界初の古代遺物。喋る本で神に代わってクエストを提示する
- 金斗雲:雲状の乗り物。心の清い人のみ乗れるが、その定義は不明
- Gライナー:Gペン型。描いたもの1つだけ具現化させられる
未だ謎が多く「誰が何のために作ったか」「いつからあるのか」「なぜ存在するのか」など不明な点ばかりです。
ただしジュイス曰くクエスト報酬で手に入る古代遺物は、神が神を倒すために作った武器とのこと。
クエスト報酬以外で見つかる古代遺物は何なのか?なぜ神が用意したのか?謎は尽きません
理を体現した超生物UMA
アンデラに登場するUMAは、世界に存在する理(ルール)を体現したような存在です。UMA(未確認生命体)という呼称ですが、どちらかと言えば精霊や妖怪などに近いニュアンスです。
UMAは自分が司る理(ルール)を他者に押し付けられます。
例えばUMAスポイルは「腐敗」の理(ルール)を司っており、周囲の有機物を強制的に腐らせられます。
UMAはクエストにもたびたび登場しており、否定者たちは捕獲や討伐を命じられることも。クエストの報酬(嬉しくない)としてUMAが追加されることもありました。
UMAが追加されると、アンデラ世界にはUMAが司る理(ルール)が増えます。反対にUMAが討伐されれば、司っていた理(ルール)が消えてしまいます。
例えばUMA銀河が追加されると、地球と太陽以外の星々とそれにまつわる事象(曜日や神話など)が追加されました。反対にUMA夏が討伐されると四季から夏が消えてしまいました。
UMAの中にも階級があるようで、概念系と現象系の2種類が確認されています。
スポイル曰く概念系は神のお気に入りだから、現象系を見下しているとのこと。四季は概念、腐敗(スポイル)や燃焼(バーン)は現象と思われます
UMAは否定者を「器」と呼ぶ(理の器という意味?)ため、否定者と近しい存在なのかもしれません。
とはいえUMAは神から「自分たちの理(ルール)で人間を苦しめろ」という指令を受けているようなので、基本的には相容れない存在と言えそうです。
アンデッドアンラックの面白さを生み出す4つのポイント
アンデッドアンラックの面白さを生み出している4つのポイントについて紹介します。これらの要素が気になる方は、アンデラにハマるかもしれません。
デメリットでしかない否定能力を活かして戦う
否定能力は基本的にデメリットしかない能力ですが、否定者は自分たちを弄ぶ神を倒すためどうにか有効利用しようと、知恵や工夫を凝らして戦いに活かしています。
例えば風子の能力は好きな人にこそ不幸をもたらす能力なので、日常生活する上では不便でしかありません。
しかしアンディーという不死身のパートナーを得たことで、攻撃へ使える能力となりました。(アンディーに不運を付与すれば、アンディー諸共敵に不運が訪れる)
出典:アンデッドアンラック 1巻1話より
これは他の否定能力者たちも同じ。アンディーは死を否定するため斬られても撃たれても再生しますが、直接的な攻撃力はありません。
しかし肉体が再生する際の反動を利用して、指を飛ばして銃弾にしたり、下半身が再生する勢いで大ジャンプしたりと、否定能力をプラスに活かそうと工夫しています。
どの否定能力もデメリットでしかないのに、前向きに活用しようとする創意工夫にワクワクします
また否定能力は世界にあるルール・法則を否定する能力なので、本人の解釈しだいで能力の汎用性が広がったり進化したりするので「本人の変化で否定能力がどう変わるか?」を見守るのも醍醐味です。
例えばアンディーは作中で死生観が変化したことで、「不死」の否定能力の応用範囲が広がりました。本人の解釈や価値観しだいで能力は変化するので、場合によってはデメリットが解消される可能性もあります。
ただし「否定能力のデメリットを本人の解釈以外で帳消しにするとろくな死に方はしない」と単行本のおまけページで明言されているので、外部からの要因で否定能力を克服すると、ろくなことになりません。
否定能力を与えどう攻略するか楽しんでいる「神」が居る世界観ならではの設定です(プロゲーマーは良くてもチーターは許せないようなイメージ?)
能力の見極めと癖になるクソデカフォント
否定能力はこの世の法則・ルールを否定するため、否定能力者と敵対する場合は多くの能力者バトル漫画でそうであるように、能力を見極めることが重要となります。
不死のような単純明快な能力もあれば、相手が思った行動を否定して逆の行動を取らせる「不真実」のような、攻撃された方からすると何をされたかわからない否定能力もあるからです。
加えて否定能力の発動条件は異なるので、上手く解明できれば有利になります。例えば風子なら好感度で不運の大きさが左右されるため、初対面の人物や嫌いな人物への攻撃力が極めて低くなります。
こうしたスタンドバトルを彷彿とさせる否定能力を見極める戦いが、見ていてワクワクさせてくれます(思考回路が神)
そして否定能力のお披露目時の楽しみなのが、癖になるクソデカフォントです!
出典:アンデッドアンラック 3巻20話より
能力バトル漫画において能力開示シーンは重要な盛り上がりシーンですが、アンデラはしっかりと盛り上げたうえで、能力開示をドンと魅せてくれるので読んでいてめちゃくちゃテンションが上がります。
能力開示クソデカフォントを見たいがために、単行本購入を決めたといっても過言ではありません
盛り上がるところをしっかり盛り上げてくれるのも、ジャンプ読者として研究を重ねてきた戸塚先生だからこそでしょう。
惜しみなく怒涛のハイスピード展開
ジャンプ漫画は生き残り競争が激しく、大ヒット作があればすぐさま打ち切られてしまう作品もあります。
アンデラ作者の戸塚先生は長年ジャンプ読者だったからこそ「スタートダッシュが肝心」「出し惜しみしない」「スピード感を大事に」といった生存戦略の必要性を理解しており、他の作品に埋もれないようスピード感を高め、各話の密度を上げたとインタビューで答えていました。
現在(2021年12月)9巻まで発売されているアンデラですが、体感的には15巻ぐらいまでいってそうな感覚
それほど濃密に詰まっており、話がどんどん展開しています。
例えば多くのバトル漫画にあって、間延び感が出やすいのが修行回。アンデラの場合は否定能力の解釈拡大=修行ですが、この修行と並行して「主人公アンディーの過去掘り下げ&過去の匂わせ&風子との関係を深める」をトータル単行本半分ほどで纏めてしまいました。
ダラッとしていると感じがちな修行回と過去回想を怒涛のフルスロットルで駆け抜けてしまい、毎週楽しくて仕方ありませんでした。
漫画にスピード感やテンポの良さを求める人も、大満足できるのではないでしょうか。
1話1ページ目から伏線が張られている緻密な設定
怒涛のスピード展開で進むアンデラですが、緻密に伏線が張られており、謎が多い設定のため考察が楽しい漫画でもあります。
ただ伏線をばら撒くだけではなく、キッチリ回収してくれるので、気持ちよく読み進めていけます。伏線を回収する間に、他の伏線が増えているので、どんどん考察するのが非常に楽しい漫画です。
その伏線は1話(正確には1ページ目)から張られており、読み返した時にテンションが上がったのを覚えています。
出典:アンデッドアンラック 3巻19話より
1話で風子が自殺の寸前まで読んでいたのが「君に伝われ」という全101巻の少女漫画。これが完結したことで、風子は自殺を決意しました。
しかしこの「君に伝われ」というタイトル・巻数・「安野雲(あんのうん)」という作者名の全てが伏線で、後々に回収されます。
他にもキャラのセリフや、現実世界と異なる背景など読んでいて違和感を覚えるような部分があり、それらが伏線だったことが読み進めていくとわかるようになっています。
伏線のネタバレは面白みが薄れるので、ぜひ自分の目で確かめてくださいね!
こうした世界観や設定の練り込みには定評があり、奈須きのこ氏も応援メッセージで以下のように述べています。
その異常さに作品世界の誰も気づけない、徹底した世界観管理(普通はこれ、読者に説明したくなるけど、そこは読者の集中力を信頼してスルー)に、 心からの喝采を送りました。
作中の登場人物たちだけでなく、読者にも『世界の仕組みと向き合う』ことを願った、アンデラならではの見開きページでした。
一つの違和感がやがて世界構造の答えになる。
その積み重ねがとても丁寧で、巧妙で、読む度に新しい発見があり、考察に繋がる。 『アンデッドアンラック』は少年漫画として面白いだけでなく、ミステリー的なロジック解明の楽しさもある、とても欲張りな作品だと思います。
アンデッドアンラック公式Twitter
また伏線や考察が好きな人に嬉しいポイントとして、コミックスのおまけが充実しています。
担当編集がスケジュールの心配をするほど、おまけが充実しています!
おまけページでは「各キャラの設定」や「幕間おまけ漫画」「古代遺物やUMAの設定」などが公開されているので、ジャンプ本誌で追いかけていても楽しめる内容になっています。
アンデッドアンラック公式Twitterでも定期的に描きおろしが公開されており、キャラ同士のかけあいや設定を楽しめます。
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アンデッドアンラックは考察好きにおすすめのスピード展開漫画
アンデラはまだまだ知名度の高い漫画ではありませんが、連載開始すぐに「次にくるマンガ大賞2020」に選ばれた実力派バトル漫画です。
能力者バトルや伏線・考察好きな方であれば、世界観にグッと引き込まれるはず。順当にいけばアニメ化も夢ではないと思うので、世に広く知れ渡るまえに押さえておきましょう。
私はタチアナちゃんがコレクションしているパンダパンのグッズが欲しいので、これからも布教を続けていきます。コッペパンダが一番かわいいのです。
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